
発表会が数日後に迫ってきたとき、だれしも、あと一週間あれば、
いや、あと三日でも余分にあればと思い悩み、ネタの制作や点検に
夜なべした経験があるはずです。
当日は当日で、本番の時間が近づくにつれ、ソワソワと落ちつかず、
檻の中の熊のように同じところをいったりきたり、また何度となく
手洗いへ入ったり、タ バコを次から次へと喫ったりと、無意識の内に
おこしている行動がいくつもあるはずです。
それは、失敗をしたくない。人の前では絶対に恥をかきたくない。この気持ちの表れなのです。
だれしも、今までの成果を充分に実現させ成功させたい、と願っています。しかし、現実には、あれだけ練習したのに、あれだけ稽古したのに、本番でステー ジの幕が開いた瞬間、頭の中が真っ白になってしまい、何がなんだかわからなくなってしまった経験の方もいるはずです。
「失敗したくない。恥をかきたくない」「うまくやりたい、みんなをうならせてやりたい」という一途の思いが、プレッシャーとなり、本番になったとたんパニックになってしまうのです。
そこまで極端にあがらなくとも、動悸はするし、膝小僧はガクガク、手は震え、ひたいに汗が噴き出してくる。などの経験を多少なりとも味わったことがあると思います。
もしあなたが心配性で、取り越し苦労が多い方なら「準備したネタは大丈夫だろうか」「胸ネタは…、腰ネタは…」「あの技法はうまくできるだろうか」など 何かが少しでも気になりはじめると、連鎖反応のように、心配の種がふえていきます。
最初に「大丈夫だろうか」「うまくいくだろうか」「どうしょう」と思ったときから、自分にマイナスの暗示をかけているわけです。それがどんどんふくら み、思えば思うほど「ああなったら、こうなるのでは」「こうなったら、ああなるのでは」と不安はふくれあがり、当然、からだも緊張しますから、どんなこと をやってもうまく行きません。それでは、どんな太い神経でも耐えきれなくなるのはあたり前です。
だれだって、自分の失敗を他人に見せたくはないものです。しかし練習やリハーサルを繰り返してきたなら、いまさらジタバタしてもはじまらないのです「こ こまで練習してきたんだ、なんとかなるさ」の気分で開き直っていかないと…。
あがり性は「なんとかなるさ」と開き直れ
©北見マキ ミステリー空間